えぇっ、殿下、本気だったんですか!?~落ちこぼ令嬢は王太子の溺愛を肉壁だと思い込んでいる~
 何か言われるのかと思ったが、意外にもあっさりとその話題を終えた兄が私へと手を差し出した。

「行くぞ」
「行くって、どこに……」

 兄からのエスコートを受け、手に自身の手を重ねた私が歩きながらそう聞くと、まっすぐ前を見据え迷いなく王城内を進む兄が告げたのは。

「殿下と、陛下のところにだ」

 という、最終勧告のような言葉だった。

 ◇◇◇

“ジルとの結婚を反対されているんだわ!”

 と一気に青ざめながら付いた大広間。
 
 開かれた扉を震えながらくぐるとその先にはこの国の王であるルディル・カヴァリア陛下とユディット・カヴァリア王妃殿下、そんな二人の唯一の子でありこの国の王太子であるジル。
 そして、何故か私の両親とララ、ララの家族であるコルティ公爵夫妻に妹のメルージラ様までもが勢ぞろいしている。

 しかもメルージラ様は両陛下の前にひとりで立っていた。

「こ、この組み合わせって」
「流石のお前でも気付いたか?」
「まさかジルの婚約者を入れ替えるってこと……!?」

“ララは諦めるって言っていたから、メルージラ様に決まったんだわ!”
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