えぇっ、殿下、本気だったんですか!?~落ちこぼ令嬢は王太子の溺愛を肉壁だと思い込んでいる~
 どういう流れで婚約者交代の話になるのかはわからないが、だが遅かれ早かれその流れになるのならば私から言えるのはひとつ。

「わっ、私は、ジラルド殿下と愛し合っています!」

 ――そう、愛を語ることである。

「確かに私は王太子の婚約者として頼りないかもしれませんが、努力します! だって私は彼を誰よりも愛しているから!」

 静まり返る広間に私の声だけが響く。
 私の宣言を聞いた父がとうとう床に膝をつくが、きっと男親とはそういうものなのだろう。

「ルチア……!」

 感動したように私の名前を呼んだジルは、こんな状況だというのにぎゅうぎゅうと私を抱きしめてくる。
 みんなの前で少し恥ずかしいが、だが私たちは愛し合っているのだから、きっとこれもそういうものなのだと納得した。

「……そ、そうですわ! お二人は愛し合われておりますわ!」
「ララ……っ」
「何かに戦われているのね? 大丈夫、私は応援いたしておりますわ」

 頬を赤らめたララも力強く頷き応援してくれている。
 やはり持つべきものは友達だ、と私が感動している、その瞬間。

「そういうところが大っ嫌いなのよ!!」
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