えぇっ、殿下、本気だったんですか!?~落ちこぼ令嬢は王太子の溺愛を肉壁だと思い込んでいる~

27.最初からどっちでも良かったの

「えっ」

 私の間抜けな声が響く。

“め、メルージラ様?”

 いつもどこか控えめで落ち着いている彼女から発されたその言葉に呆然としてしまう。

「どうせもうわかってるんでしょう? えぇ、全部私が仕組んだわ。私が殿下に媚薬を盛ったの。だって今なら媚薬が効くはずだもの」
「それは、ルチアが拐われたことや僕が加護を失った時のことも含めて?」
「どっちも私。本当はいつか姉に使ってやろうと研究していたものだけど、神の愛し子様にも効くなんてね」

 あはは、と彼女の渇いた笑いがその場に響く。

“ジルを襲ったのが、メルージラ様ってことなの?”

 更に私とララの誘拐の件も?
 その驚愕の告白に、私はただ口をはくはくと動かした。

「な、なんでメルが……っ」
「お姉様のそういう態度が気に入らないの。何もかも中途半端で私より劣っている。……それなのに加護が強いというだけで私が欲しいものを全て取っていくのよ!」
「全てって。そんな、私は」
「加護が何? ちょっと熱いものが食べられるだけじゃない。それが領地経営に何の役に立つっていうの」
「それが理由なのか?」
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