えぇっ、殿下、本気だったんですか!?~落ちこぼ令嬢は王太子の溺愛を肉壁だと思い込んでいる~
 だが、姉の恋を応援したいという理由にしては少々過激すぎる。
 何よりララを加害者にする前提の誘拐など、違和感が拭えない。

 そしてそんな疑問に答えてくれたのもジルだった。

「君はあの誘拐の日、自身の姉が怪しいと告げに来ていたよね。もしフラージラ嬢が思惑通りルチアを害したとすれば、あの密告で疑いが確信になるような状況になると思うけど」
「どちらでもよかったんです。姉が殿下と結婚して家を出るのも、姉が罪を犯し追放されるのでも」
「そ、んな」

 さらりと告げられたその言葉に唖然とする。

「巻き込んでしまってごめんなさいね? でも私、貴女のことも嫌いだわ」
「メル!!」

 ハッキリと私を見ながらそう断言するメルージラ様と、そんなメルージラ様を咎めるように声をあげるララ。
 だがそんなララの声なんてもう聞こえないのか、狂ったようにメルージラ様は高笑いをしていた。

「お姉様が結婚して出ていけばあの家は私のものになるはずだった。罪を犯したパターンでも、追放して領地の一部を返還すれば良かったし、私はこの家を私のものに出来れば良かったんですよ。潰してもいいし活かしてもいい」
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