えぇっ、殿下、本気だったんですか!?~落ちこぼ令嬢は王太子の溺愛を肉壁だと思い込んでいる~
 それはきっと、娘の罪を家族全員で共有し、自らをも犠牲にする覚悟があるから。

 ――つまりは、親だからなのだ。

“すべての親がそうではないからこそ、彼女は愛されている側の人間よ”

「少し不器用だったかもしれないけれど、それはメルージラ様もじゃないかしら」
「ハッ、そんな綺麗事を言われても」
「いいえ、言うわ」

 キッパリそう告げると、彼女が口をつぐむ。

「だって貴女はやり直せるもの」
「……私は王族を害したわ」
「それは……」

 私たちの誘拐、媚薬の件も結果飲んだのは私であることを考えればいくらでも逃げ道はある。
 けれど、ジルを襲ったことに対しては申し開きしようがないことも事実であった。

「そうだね、本来なら打ち首、よくて公爵家没落ってところだけれど」
「没落で構いませんわ! 元はと言えば私にも原因があったのです!」

 ジルの言葉に乗るようにララが声を発する。
 そんなララの肩をそっと抱き寄せたコルティ公爵夫人と、メルージラ様のところまでゆっくり歩くコルティ公爵。

「娘の不始末は親の不徳です。我がコルティ公爵家はこの場にて爵位返上を――」
「しなくていいよ」
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