えぇっ、殿下、本気だったんですか!?~落ちこぼ令嬢は王太子の溺愛を肉壁だと思い込んでいる~

28.約束したから

「メルージラ様は修道院に行くのね」
「王族に害を与えたんだ、むしろ優しすぎると思うけどな」

 あの呼び出しの後、メルージラ様は修道院へ入ることになった。
 また、コルティ公爵からの申し出で領地の一部も返還することになったらしいが、最終的に公爵家の取り潰しはなくなったとのことである。

 メルージラ様は修道院に入ることになったものの家族との縁は切らずに済んだらしく、ほとぼりが冷めれば長期休暇の際にでも会うこともできるとのことだった。
 彼女が修道院で行う研究とやらの結果次第ではいつか王都に戻ることもあるかもしれない。

“ララも沢山手紙を書くと言っていたし”

 願わくば、全て丸く収まりますように。
 私はそう心の中で祈ったのだった。


「……で、責任は取るのよね?」

 王城からの帰り道、前を歩く両親の後に兄と並んで歩いていた私は、母からのその突然の声掛けにドキリとした。

“せ、責任?”

 どの責任だろうか。
 まさか今回の事件の発端の一部になってしまった責任だろうか。
 それとも親に許可なく勝手にジルとの結婚に同意したことだろうか。
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