えぇっ、殿下、本気だったんですか!?~落ちこぼ令嬢は王太子の溺愛を肉壁だと思い込んでいる~
「大好きよ、ジル」
「あぁ、僕もだ。明日にでも結婚したいくらい愛してる」
「ふふ、またそんなことを言って」
「本気」

 彼との軽口が楽しくて心地いい。
 ずっとずっとこうやって彼と過ごせていければ、どれほど幸福なのだろうか。

「ルチアは着たいウェディングドレスとかあるかな?」
「そうね……、んー、ジルが一番好きなドレスを着たいかも、なんて」

 もちろん好きなドレスの形はあるけれど、でも婚姻を結ぶ特別な日は、愛する人の最も好きなドレスに身を包みたいと、そう思った。

「ふふ、ルチアならそう言ってくれるって思ってた」
「ジルには何でもお見通しなのね?」
「それだけ君しか見てないってことなんだけどね」

 甘い会話に身を委ねる。
 きっといつか結婚した後も、何年後も、そして何十年後も彼とならばこんな日々過ごせるのだろう。

「ルチアは嫌?」

 少し不安そうに小首を傾げる彼のその表情が可愛くて、こういうのも惚れた弱みというやつなのかもしれない……なんて思いながら、「私もジルのお嫁さんになれるの楽しみにしてるわ」なんて私からも甘い言葉を彼に囁いたのだった。
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