えぇっ、殿下、本気だったんですか!?~落ちこぼ令嬢は王太子の溺愛を肉壁だと思い込んでいる~
番外編

1.責任を取られる覚悟はありますか

 ――体が熱い。
 さっき飲んだジュースに何か混入していたのだ。

 ……妹から渡された、あのジュースに。

“どうしてなの、メルージラ……!”

 いや、その答えならわかっている。
 最初から妹が口にしていた通り『馬鹿じゃないなら上手くやれ』ということなのだろう。

 下腹部が疼くこの状況と、妹の言っていた言葉で自分が媚薬の類いを盛られたことを察した私に冷や汗が滲む。
 

 今日は王家主催の夜会。
 つまりジラルド様も来られている。

 きっと私と同じように彼のグラスにも同じ薬が混入しているはずだ。
 彼にその意志がなかったとしても、媚薬で理性を失わされれば。
 しかも私側にも同じ薬が盛られている。

“ルチアに諦めると言ったのに”

 まだ全ては捨てきれていないこの恋心のせいで、理性を失えば彼の元へと向かってしまうかもしれないこの現状に血の気が引いた。

「ダメ、そんなこと……する、訳には……っ」

 だがその焦る気持ちとは裏腹に足に力が入らずその場で膝をついてしまう。
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