えぇっ、殿下、本気だったんですか!?~落ちこぼ令嬢は王太子の溺愛を肉壁だと思い込んでいる~
「俺に責任を“取られる”覚悟はありますか?」

“責任を、取られる覚悟?”

 突然告げられたその言葉。

 取るのではなく取られる、ということが引っかかりぽかんとしてしまう。

「拒絶がないのは了承と取るぞ」
「あ、え……? ひゃあっ!」

 そっと彼の手のひらがドレスの上から腹部に触れ、そのままレースを伝うように胸元まで上がりゆっくりと持ち上げるように私の胸を揉む。

 ドレスの生地が分厚いせいで触れられている感覚はあまり強くないのに、薬のせいで僅かな刺激でも今の私は敏感に拾いビクリと体が跳ねた。

“今、私胸を揉まれて……”

 しかも相手は婚約者でも、ずっと慕っていた相手でもない。
 いわば許されない相手。

 それでも、相変わらず眉をひそめながら私の顔色を窺い触れる彼の手が優しくて堪らなかった。

 ――全てを委ねてしまいたくなる。


“誘拐された時に助けてくれた彼は王子様みたいだった”

 そして今も、私を助けようとしてくれている。
 それも自分を犠牲にして。

「ごめん、なさい……」
「――目は瞑らないでください。抱いているのが俺だと覚えていて欲しいです」
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