えぇっ、殿下、本気だったんですか!?~落ちこぼ令嬢は王太子の溺愛を肉壁だと思い込んでいる~
「……問題ないなら、その、服を」
「服?」

 言われて確認するように自身の体へと視線を落とした私は顎が外れそうなくらい驚いた。
 もし顎が外れていたらきっと痛みで大声をあげていただろう。

 ギリギリ声を出さなかったことに安堵しつつベッドの上掛けを必死に手繰り寄せ丸出しになっていた胸を慌てて隠す。

 そして甦るのは彼に触れられた記憶たち。

“夢じゃなかったの!?”

 熱に浮かされながら手を伸ばすと抱き締められた記憶。
 舌を伸ばせば彼の舌と重なり、もっと胸を触って欲しくて彼の両手をもう脱がされ露になっていた先端へと誘導したりもした。

 先端が舐められるとゾワゾワと肌が粟立ち、その感覚が忘れられず馬乗りになって彼の顔に胸を押し付けたりもした。

“なんてはしたないことをしてしまったのかしら!?”

 全て夢だと思いたいが、あの薬は記憶を消すことはなく残念ながら全て覚えている。
 それはそうだろう、既成事実を作るのが目的で盛るものなのだから、記憶を失っては元も子もないからだ。

“だからってあんまりだわ……!”

 結局妹の思惑通りに襲ってしまったことに頭を抱える。
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