えぇっ、殿下、本気だったんですか!?~落ちこぼ令嬢は王太子の溺愛を肉壁だと思い込んでいる~
 そんな私の視界の端には情事を証明するように乱れ、汚れたシーツであった。

“で、でも不思議と体はサッパリしているわ。超絶苛烈な妄想の可能性もまだ……”

 だがそんな私の最後の希望は、彼からの親切心でポッキリ折れる。

「とりあえずお湯も貰ってきて軽く清めさせては貰ったんだが、不十分ならすまない」
「……ありがとう。とても、紳士的なのね……」

 何から何までやらせてしまった。
 妹に嵌められた後始末も、体の熱を収めるための行為も、そして体を清めるというところまで全て。

 申し訳なさすぎて顔が上げられず、だがこのまま裸でいる訳にもいかないのでノロノロとドレスを着ようとする。
 が。

「……?」

 いつもは侍女が着せてくれるせいで全く着方がわからない。

「確かここに腕を……入れたら拘束されたみたいになってしまったわ?」
「はぁ、手伝います」
「えっ!? で、でも」

 彼の言葉にギョッとして慌てて胸を隠すが、そんな私を無視し視線を戻した彼はさっき恥ずかしそうにしていたことなどおくびにも出さずにコルセットを手に取った。

「そ、その、これは流石にっ」
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