えぇっ、殿下、本気だったんですか!?~落ちこぼ令嬢は王太子の溺愛を肉壁だと思い込んでいる~
「僕には光の加護がある。光の加護には呪いも毒も効かないんだ、だから毒味は必要ない。むしろルチアの毒味を僕がする」
「いや、殿下が毒味するのは絶対間違ってますけど!? それに」

 確かに他の加護とは違い特別な加護のある殿下には毒は効かず、死ぬことはない。
 けれど。

「でも、苦しいですよね」
「え?」
「死ななくても、苦しいことには変わりないとそう文献で読みました。だからこれからも私が先に毒味をします、殿下には笑っていて欲しいから」
「ルチアに何かある方が苦しいってわかって……ないんだろうなぁ」

 ふっと表情を柔らげた殿下が、再び私からグラスを二つとも受け取り私が毒見していない方のグラスへと口をつける。
 一口飲んで安全を確認した後、改めて殿下が口にした方を私へと差し出した。

「ルチアのは僕が毒見をしたよ」
「これでは何もよくありません……」

 不満気な表情を頑張って作り彼を見上げるが、それでも彼のそんな言葉にじわりと頬が熱くなるのを止められなかった。


「というか、そもそも僕はこういう物理的な壁を望んでる訳じゃないんだよね」
「えっ、違うんですか!?」
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