えぇっ、殿下、本気だったんですか!?~落ちこぼ令嬢は王太子の溺愛を肉壁だと思い込んでいる~

3.事件の結末は

 私が一人帰ったあの夜会。
 だが翌日になっても両親も妹も戻って来なかったことに嫌な予感が過る。

「まさか事故にでも遭ったんじゃ……」

 こんな時こそ長女である私がしっかりしなければ、使用人たちへも不安が広がってしまうだろう。
 だからこそ気丈にみんなの前では笑顔を保ってみるが、ふと私室でひとりになると気弱になってしまう。

“どうしたらいいの?”

 誰かに大丈夫だと言われたい。
 少しかさつき剣ダコでゴツゴツとした大きな手で撫でられたい。

「って、それはダメだわ!!」

 弱気になった自分のそんな妄想に慌てた私が勢い良く立ち上がると、手に持っていたカップから紅茶が零れた。

“忘れなくちゃいけないのに!”

 つい頼りたくなってしまったのは、彼があまりにも優しかったからかもしれない。

「というかいつもピンチの時に現れる王子様だからで、だからその、この感情に他意はないんだからッ」

 私が好きなのはジラルド様なのだ。
 もうとっくに諦めているけれど。

 だが彼は責任を取ると言ってくれた。
 それに、抱いているのが俺だと覚えていて欲しい、とも言っていた。
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