えぇっ、殿下、本気だったんですか!?~落ちこぼ令嬢は王太子の溺愛を肉壁だと思い込んでいる~
 娘、つまりは私の妹でもあるメルージラが反逆罪で捕まったのだから。

「何があったかは聞いているか?」

 そう聞かれ小さく頷いて答える。
 王家からの通達書には詳しいことは書いていなかったが、だが昨晩自分に起こったことならよく覚えている。

 そして薬を盛られた時に聞かされた内容からも推測は出来た。

“ジラルド様にも媚薬が盛られたんだわ”

 出来ればそっちは失敗してくれていないかと願っていたが、その願い虚しく実行されて何かしらが起きたのかもしれない。

「ルチアは大丈夫かしら……」

 婚約者同士であり想い合っている二人でも、無理やりは絶対ダメだ。
 もしジラルド様が薬で理性を失い嫌がるルチアに何かをしたのならば。

「私がもぐしかないわね」

“……いや、もいでしまうとそこで王家の血が途絶えてしまうわ”

 つまり外部に子種を保存してからもげばいいのかしら、なんて考えながら呼ばれた大広間。

 断罪を待つかのように両陛下とジラルド様の前にひとり立っているのは妹のメルージラだった。
 いつも気弱で、私の背中に隠れていたメルージラ。
< 244 / 262 >

この作品をシェア

pagetop