えぇっ、殿下、本気だったんですか!?~落ちこぼ令嬢は王太子の溺愛を肉壁だと思い込んでいる~
 守ってあげなきゃと常に彼女の前に立っていたことも全て誤りだったのかもしれないと、吐露される彼女の思いに衝撃を覚える。

“どこから間違えてしまったの?”

 ――いや、きっと背後に庇った時から間違っていたのだ。
 たったひとりの姉妹なのだから、盾になるのではなく向かい合うべきだった。
 隣に並ぶべきだったのだろう。

 苛烈なまでもの妹の考えを知りショックを受けていた時に飛び出してきたのはルチアだった。

「貴女は愛されているわ」

 そう断言する彼女に強さを見る。
 騎士団試験に落ち、貴族ならば当然持っているはずの加護もない。

 だが、『何もない』と自分を評する彼女はいつも生き生きと輝き眩しかった。

“本当に完敗だわ”

「私も貴女のようになりたいわ」

 思わずそう私の口から溢れたが、誰にも聞こえなかったようで安堵する。
 だって私はフラージラ・コルティ。決して彼女(ルチア)にはなれないのだから。


 コンタリーニ侯爵家は、今回の被害者として呼ばれていたようで事情を確認し終わったのか先に大広間から退席した。
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