えぇっ、殿下、本気だったんですか!?~落ちこぼ令嬢は王太子の溺愛を肉壁だと思い込んでいる~
 そして残ったのは両陛下とジラルド様、そしてコルティ公爵家だけである。

“一家全員打ち首かしら”

 加護という存在すらも疎んでいたらしい妹は、なんとジラルド様が加護を失ったこととも関係していたらしい。

 せめて雇われているだけの使用人と、コルティ公爵家の騎士団は免除して欲しいのだが当然そんなことを願うことすら許されないだろう。

“良かった、あの時断っておいて”

 もしエミディオ様に責任を取ってもらうことにしていれば、彼までをも巻き込むところだった。

 既に多大なる迷惑と大回転レベルの巻き込みをしてしまっているのに、更に断罪にまで巻き込むところだったのかと思うとゾッとする。

“でも、死ぬ前に素敵な思い出を貰えて私ってばついてるわね”

 本来なら私とエミディオ様にそういった未来はないはずだった。
 全く興味はなかったとは言わない。

 助け出してくれたあの時のことは私にとっては特別だった。
 怖かった。死んでしまうかもしれないと思ったその時に現れた慕っていた相手は私を見向きもせず友人だけを見ていた。
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