えぇっ、殿下、本気だったんですか!?~落ちこぼ令嬢は王太子の溺愛を肉壁だと思い込んでいる~
 そしてそんな彼女が羨ましいと心の底から思ったのだ、『私も誰かに見つけて欲しい』と。
 その時に現れたのがエミディオ様だった。

“エミディオ様は、二回も見つけてくださったわ”

 媚薬を飲んでしまったあの時、もし側にいたのが彼じゃなくても、私は服を掴み引き留めていただろうか?

“いいえ。きっと彼だったから”

 そう思えるくらいには特別だった。
 もちろんジラルド様を見ればまだ心は痛むけれど、それでも、心から友人の幸せを祈れるくらいには吹っ切っているつもりだった。

「でも、それももう終わりね」

 もし来世というものがあるのなら、今度は私が貴方を見つけるから。
 だからその時は……

「――……よって、メルージラ・コルティには修道院に入ることを命ずる」

 ……、?

 完全に来世へと思いを馳せていた私は、告げられた処分に首を傾げた。
 思わず隣にいる両親を見上げると、二人とも愕然とした表情をしていたのでどうやら聞き間違いではなかったらしい。


「し、処刑されないのですか?」
< 247 / 262 >

この作品をシェア

pagetop