えぇっ、殿下、本気だったんですか!?~落ちこぼ令嬢は王太子の溺愛を肉壁だと思い込んでいる~

4.やっと、見つけた

「良かったわね、お姉様の勝ちだわ」

 罪人としてではなく自主的に修道院へ行くということで決まった話し合い。
 そのお陰で荷物を準備することが許されたメルージラと一緒に、先に大広間を出た私に彼女がフン、と傲慢に鼻を鳴らす。
 だがそんな妹の表情はどこかスッキリしたように見えた。

“姉妹だからわかるわ”

 きっと妹を救ってくれたのは、何も持っていないと言い切った友なのだ。
 彼女は何も持っていないと言いながら自分で選び、そして全てを受け入れ大事に出来る器の大きさを持っていた。

 それらは未来の王妃に必要な素質で、努力だけでは手に入らない貴重な能力。

“だから私も”

 彼女のようにはなれないとしても、私は私らしく大事な妹の支えになりたいとそう思った私は、一歩メルージラへと近付いた。

「私も一緒に行くわ、修道院」
「……は?」
「貴女を背後に庇うのではなく、横に並び、そして時には向かい合うべきだったってわかったの。だから私……」

 ――パシン、と乾いた音が王城の廊下に響く。

 思い切り頬を叩かれ、呆然としていると思い切りため息を吐かれた。

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