えぇっ、殿下、本気だったんですか!?~落ちこぼ令嬢は王太子の溺愛を肉壁だと思い込んでいる~
 至極当然のように告げられた言葉に愕然とする。

「とりあえずそうだな……、僕といちゃいちゃするところから始めてみない?」
「い、いちゃいちゃ!?」

 更に重ねられた言葉に呆然とするが、だが殿下がそう言うのだ。
 きっと何か意味があるに違いない。

“仲良しアピールをして本命以外の令嬢を蹴散らすとか、きっとそういうの!”

 正直あまり理解はしていないが、確かに誰も割り込めないほど仲睦まじい様子を見せつければ殿下を諦める令嬢も出るだろうと思った。
 なるほど、これが精神的肉壁というやつか。

「ルチア、こっち」

 殿下に手を引かれ向かったのはテラスに設置されたふかふかのクッションも置かれているベンチだった。

“ここで今からいちゃいちゃするのね!?”

 改めてそう思うと大きく心臓が跳ねた。
 どういちゃいちゃ感を出すのかはわからないが、まずは寄り添って……なんて考えていた私に、殿下が衝撃的なことを口にする。

「じゃあ僕の膝に乗ってくれる?」
「膝!?」

“な、なんでっ!?”

 あまりの提案に愕然とするが、当の殿下はというと至極真面目な顔をしていた。
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