えぇっ、殿下、本気だったんですか!?~落ちこぼ令嬢は王太子の溺愛を肉壁だと思い込んでいる~
「私、思ったよりも好かれておりましたの……?」
「少なくとも全く好意のない相手に責任を取るような行為はしませんね。俺は」
「そんな、私のどこが」
「真っ直ぐ想い、そして散ってもなお誰も恨まず祝える心意気は好ましいですね。しんどそうなのに一人気丈に祝うのはさぞ辛かったでしょう」

“気付いてくれていたなんて”

「でも、嬉しいと思ったのも本当で」
「そうですね。本心でそれを思えるのもポイントが高いです」
「けれど私は」
「フラージラ嬢は」

 ぽつりと溢すように名前を呼ばれ口をつぐむ。
 じっと言葉の続きを待っている私に告げられたのは、「俺では絶対ダメですか」というものだった。

「ダメな訳、ありませんッ!」

 見つけてくれた。
 私の心を救い上げてくれた。

 いつもここぞという時に現れてくれる貴方が私を選んでくれるならば。
 私も、貴方を、貴方だけを選びたいから。

“あぁ、やっと私も見つけられたのね”

 ずっと羨ましかった。
 想い想われるという関係が。

「貴方を、心からお慕いしてもいいのですか?」
「そうしてくれると嬉しいですよ」
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