えぇっ、殿下、本気だったんですか!?~落ちこぼ令嬢は王太子の溺愛を肉壁だと思い込んでいる~
 私の体をじっと見下ろし、頬に軽く吸い付いた彼の唇がするりと顎に下がる。
 そしてそのままゆっくり下りて胸へ口付けられた。

 胸の柔らかさを確認するように唇で食まれ舌が這わされる。
 そのまま転がすように愛撫されると、私の口から嬌声があがった。

“今は媚薬を飲んでないのに”

 あの夜を思い出し、早く彼に触れられたいとはしたないことが頭に浮かんでは白く弾け、そしてまたすぐにそう願った。

 そんな焦れた気持ちが伝わったのだろうか。
 彼の手のひらがするりと下がる。

「ひ、ぁあっ」
「もう濡れてますね。期待してました?」
「あっ、んん、してた、してました……っ」

 ぐちゃぐちゃになった思考でまとまらないまま言葉にすると、彼の喉がごくりと上下したことに気付く。

「エミディオ、様?」
「素直すぎるのも考えものだな」
「え――ひんっ!?」

 ふぅ、と息を整えるようにゆっくり吐いた彼の頬がどことなく赤い。
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