えぇっ、殿下、本気だったんですか!?~落ちこぼ令嬢は王太子の溺愛を肉壁だと思い込んでいる~
 それにその小説のお陰で男女が休憩室へ消えてナニをするのかというのも、知識ではある。
 なんかこう、いちゃいちゃするのだ。

 どういういちゃいちゃなのかは男性が女性のドレスをズラし胸を露出させた段階で鼻血を噴いたのでわからないが。
 そういえば鼻血を噴いた私を見た日から、色んな理由をつけて影教育をしてくれなくなったっけ。

 そんなお母様からの最後の教えはひとつだけ。『とりあえず殿下に任せときなさい』だった。

「つまり、本番で失敗しないよう練習すべきだと思わないか?」
「はい、殿下にお任せします!」
「えっ、いいの?」

“確かに完璧な殿下が失敗なんてしてしまったら大変だもの”

 それに殿下はあくまでも練習と言っていた。
 つまりは真似事、いつか破棄する関係だとしてもそれくらいなら許されるだろう。
 どうせ暫くこの場所で時間を潰さなくてはならないのだ、むしろすることが出来て効率的だ。

「練習、なんですよね?」
「うん、練習だ。だがもちろん実践はルチアにしか絶対しないと約束する」

“そうよね、片っ端から実践練習なんて積まれたら勘違いする令嬢だっているものね”
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