えぇっ、殿下、本気だったんですか!?~落ちこぼ令嬢は王太子の溺愛を肉壁だと思い込んでいる~
 思わずこくりと喉が鳴る。
 どこか熱に浮かされたように、彼の体に触れていた手をそっと滑らせ上からボタンを外すと、一瞬ピクッと反応した殿下の口付けが重なるような優しいものから噛み付くような激しいものへと変化する。

 でも、そのどちらの口付けも私を堪らなくさせた。

“好きです、殿下。私だけを見てくれるのが今だけなのだとしても”

「ルチア……っ」
「ん、で、んかっ」
「ルチア、名前で呼んで、ジルって」
「あ、んっ、ジル、ジルっ」

 ちゅくちゅくと音をたてながら口内の奥までジルの舌が入り、その舌を求めるように自身の舌を動かすと絡めとるように扱かれる。

 与えられる深い交わりに夢中になっていると、ジルの手のひらが私の胸を下から持ち上げるように触れた。

「ひぁ……っ!?」
「ん、ルチアのおっぱい、柔らかいね?」
「やっ、なっ」
「? 先に触れてきたのはルチアでしょ?」
「!!!」

“確かにそうだった!”

 自分がしておいて、自分にはするなという言い分は通らない。

「それにこれは練習だよ」
「れ、練習」
「本番で失敗しないための予行練習だ」
「予行練習……!」
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