えぇっ、殿下、本気だったんですか!?~落ちこぼ令嬢は王太子の溺愛を肉壁だと思い込んでいる~
 胸を露出させた後どうするのかはわからない。
 だが母はあの時確かに殿下に任せておけと言っていた。

“流石王家の影だわ、ここまで予測済みだったのね!”

「わかりました、ジルにお任せいたします」
「えっ、いいの?」
「はいっ、どうぞ好きなだけ露出させてください!」
「ろしゅ、……ん、んんッ、わかった、じゃあふたりで本番失敗しないよういっぱい練習しよう」

 大きく咳払いしたジルの頬がじわりと赤く染まる。

“そ、そうよね? 普段見せない肌を見られるのって恥ずかしいもの”

 そう気付いた私は、おすおずと片手を上げる。

「あの、何でしたら先ほどのクラバットで目隠ししてもいいですよ?」
「目隠し!?」
「見られるのが恥ずかしいなら、私の視界を塞いでいただいても構わないです」
「そのプレイはそのプレイで魅力的だな……」

 私の提案を聞いたジルが悩むように片手を顎に当てて考え込んだが、すぐに軽く顔を左右に振った。

「目隠しは次の機会にしよう、やっぱり最初はルチアの顔をしっかり見たいし」

 そしてうんうんと満足気に頷きながら、私の肩を軽く後ろに押した。

「きゃっ」
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