えぇっ、殿下、本気だったんですか!?~落ちこぼ令嬢は王太子の溺愛を肉壁だと思い込んでいる~

7.悪夢のお茶会

“なんでこんなことに”

 思わず頭を抱えたくなった私が今いるのは、まさかのまさか。
 フラージラ・コルティ公爵令嬢主催のお茶会会場であった。


 事の起こりは三日前。
 私宛に一通の招待状が届いたのである。

 フラージラ様と言えば、あのお披露目を兼ねた夜会で出会っただけで親交はあまりない。
 というか、私自身が盾としてジルの側にいれるようにと訓練に励んでいたお陰で同年代の令嬢との親交がほぼないのだ。
 ――まぁ、努力の結果も虚しくまさかの一次試験で落ちたのだが。

“でも、このタイミングで呼ばれるってことは絶対何かしら意図があるはずよ”

 フラージラ様といえばコルティ公爵家の長子であり、またその真っ赤な髪と瞳からもわかるように強く火の加護を受け継いでいる。
 それに夜会での様子からしてジルへ特別な想いを持っているだろう。

 そんな彼女の茶会に突然と呼ばれたとあれば、それは罠か、嫌がらせか。
 それともジルの婚約者を辞退するように説得されるのかもしれない。

 だが私は肉壁婚約者なのだ。
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