えぇっ、殿下、本気だったんですか!?~落ちこぼ令嬢は王太子の溺愛を肉壁だと思い込んでいる~
 そんな彼らの反応には気付かないフリをして頭を下げたまま口を開く。

「騎士団試験に落ちてしまいました!」

 自分で口にしたくせに、自分のその言葉に傷つき視界が滲む。

 王家の盾として君臨するコンタリーニ家の娘が、まさか……まさか、十歳の子でも受かるという一次試験にすら通らなかっただなんて!!

“あまりにも恥!”

 私のその発言を聞いた父と兄から、小さく「あぁ……」という呆れにも似た呟きが聞こえて更に胸がズキズキと痛む。
 
 母も含めた三人には結果が届いた昨晩のうちに報告したのだが、きっと私がこの家の落ちこぼれだと普段の生活から知っていたからだろう、落ちたことに「だろうな」「知っていたわ」「運動神経ないもんな」とそれぞれ言われただけだった。

「騎士団員として、そして王家の盾として殿下をお守りすることが出来ません!」

 私の悲痛な叫びを聞いた殿下が今どんな顔をしているのかを見るのが怖くて顔があげられない。
 だが、私には言わなくてはいけないことがまだあった。

「それから! 盾になれなかったので影として訓練を積もうとしましたが、影にもなれませんでした!」
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