えぇっ、殿下、本気だったんですか!?~落ちこぼ令嬢は王太子の溺愛を肉壁だと思い込んでいる~
8.おやすみのキスを
絶望のお茶会から帰った私をまるで当然のように笑顔で出迎えてくれたのは、この国の王太子であり神の愛し子であるジラルド殿下だった。
“何故我が家に!”
驚く私とは対照に勝手知ったると言わんばかりに迷いなく歩くその先は、私の部屋である。
「えっと、あの……」
好きな人が自分を笑顔で出迎えてくれるというのは嬉しい。
部屋まで送ってくれるのも嬉しい……が、いつもいる侍女は何故か姿を現さないし、ジルのこの表情は部屋の中にまで入る気でいる。
“部屋で二人きりというはどうなのかしら”
確かに前回密室で二人きりというシチュエーションはあったが、あれはあくまでも肉壁という任務のためでここは私の家。
家族全員が私を肉壁婚約者だと知っているのにアピールする必要はないはずだ、と考えた私は思い切って扉を塞ぐようにジルの前に立った。
「いくらジルでも、流石に結婚もしていない状態で私室に入れる訳にはいきません」
「じゃあ今すぐ結婚しよう」
「い、いえそういうことを言っている訳ではなくてっ」
「くっ、ダメか」
しれっと言われたその言葉に一気に顔が熱くなるが、これはいつもの冗談。
“何故我が家に!”
驚く私とは対照に勝手知ったると言わんばかりに迷いなく歩くその先は、私の部屋である。
「えっと、あの……」
好きな人が自分を笑顔で出迎えてくれるというのは嬉しい。
部屋まで送ってくれるのも嬉しい……が、いつもいる侍女は何故か姿を現さないし、ジルのこの表情は部屋の中にまで入る気でいる。
“部屋で二人きりというはどうなのかしら”
確かに前回密室で二人きりというシチュエーションはあったが、あれはあくまでも肉壁という任務のためでここは私の家。
家族全員が私を肉壁婚約者だと知っているのにアピールする必要はないはずだ、と考えた私は思い切って扉を塞ぐようにジルの前に立った。
「いくらジルでも、流石に結婚もしていない状態で私室に入れる訳にはいきません」
「じゃあ今すぐ結婚しよう」
「い、いえそういうことを言っている訳ではなくてっ」
「くっ、ダメか」
しれっと言われたその言葉に一気に顔が熱くなるが、これはいつもの冗談。