えぇっ、殿下、本気だったんですか!?~落ちこぼ令嬢は王太子の溺愛を肉壁だと思い込んでいる~
「考えれば、フラージラ様って自分の自慢やどこがお似合いなのかはアピールされるんですけど、私を貶したりはしないんですよね」

 私の方が王太子妃に相応しいのだとアピールはするが、それだけだ。
 加護がない私には王太子妃なんてなれないという言い方は一度もされてはいない。

“あくまでも、フラージラ様の方が優秀だから私よりも相応しいって言い方なのよね”

 それはまるで、何も出来ないそのままの私を見てくれているようだった。

“落ちこぼ令嬢で立ち向かえるような相手じゃないかもしれないけれど”

 何せ彼女は私より身分が上で、とびきりの美人。
 そして何より強力な加護も授かっている。

 それでも、彼女が私をライバルとして思ってくれているのであれば、私はこのままの私で肉壁としての役割を果たしたい。

「……それに、そういうところがちょっとジルに似てるなって」
「僕に?」
「そのままの私を認めてくれているところです」

 何も出来ないと悩んでいたこんな私を、ちゃんと認めて対等に扱ってくれるから。

「嫌いにはなれないなって」

 むしろ好きまである。
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