えぇっ、殿下、本気だったんですか!?~落ちこぼ令嬢は王太子の溺愛を肉壁だと思い込んでいる~
 一次試験にすら通らないのに諜報とか出来る訳ないじゃなぁーい、なんて爆笑したお母様が、今日も一人で準備をしお茶会に一人で出ることが実質影としても役立たずなのだと告げている。

 王家の盾、そして影であるコンタリーニ家とは思えないこの自分の落ちこぼれ具合に心臓が潰れそうだが――まだ、言わなくてはならないことが私には残っていた。

「……更にっ、加護属性の選定結果、私に……、加護はありませんでした……!」

 一気に捲し立てるように話しきると、ハタハタと足元に水滴が落ちる。
 堪えきれなかった涙が溢れてしまったのだ。

“情けない”

 報告すら満足に出来ない自分が情けない。
 盾にも影にもなれない自分が恥ずかしい。

 そして貴族ならほぼ全員が何かしらの加護を持っているはずなのにその加護すらなかったのだ。

 コンタリーニ家どころか貴族としても、私は落ちこぼれ。
 そう、落ちこぼ令嬢だったのである。


“こんな私が神の愛し子である殿下のお側にいれるはずないわ……”

 幼い頃の約束が守れないことも悲しかったが、殿下の側にいる資格がないということも悲しかった。
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