えぇっ、殿下、本気だったんですか!?~落ちこぼ令嬢は王太子の溺愛を肉壁だと思い込んでいる~
 てっきりフラージラ様の紅茶の購入に連れ回された後は解散すると思っていたのに、発見後も連れ回されることが確定していることにガクリと項垂れる。

“まさか迎えに来てくれたのって、お金持ちアピールなのかと思ってたけど本当は私を逃がさないためだったんじゃ”

 その可能性に愕然としつつ、ここまで来てしまってはもう拒否権など当然ない。
 自分の家の馬車で来なかったことを後悔しつつ、私はズンズンとまっすぐ歩くフラージラ様に既に若干疲れつつついていったのだった。

 ◇◇◇

 私たちが最初に向かったのは当然今回の目的でもある紅茶専門店である。

「いつもご利用誠にありがとうございます、フラージラお嬢様。本日はいつもの茶葉のご用意でよろしいでしょうか?」
「えぇ。いつものをお願いするわ。私、あのふわりと香る薔薇の紅茶が大好きなの」
「いえいえ! 熱湯でも美味しく飲めるものを、ですよね!?」
「あら? そうだったわ。ここにある茶葉で一番熱に強いものを!」

 どうやらコルティ公爵家の御用達だったらしいこの紅茶店。
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