えぇっ、殿下、本気だったんですか!?~落ちこぼ令嬢は王太子の溺愛を肉壁だと思い込んでいる~

10.もしかして私たち……お友達!?

「……う、羨ましいわ。オパール……」
「へ?」

 ポツリと小さく聞こえたその呟きにポカンとする。
 怪訝に思いながら彼女の顔を見ると、彼女の長い睫毛が僅かに震えていることに気付き焦った。
 
「ひえっ、あ、じゃあ出して貰いましょうか!? オパールのネックレス! ね!?」
「それじゃ何も意味ないわよ」
「え、でも」

 フイッと顔を逸らし俯いた彼女は、悲しげな声で「私が自分で買っても仕方ないわ」とそう溢した。

 そしてその声色にドキリとする。

“そっか、『好きな人』から貰ったネックレスだから意味があるのね”

 私だってそうだ。ジルに貰ったものだから着けたいと思って着けてきたのだから。

“フラージラ様って、本当にジルのことが好きなんだわ……”

 その事に気付き、胸の奥がツキリと痛む。
 彼女と私は同じなのだ。

 何も言葉が出ず、思わず私も俯いてしまう。
 そんな私の前に、真っ赤なルビーのピアスが差し出された。

 驚いて顔を上げるとにこやかに微笑む店主と目が合う。

「ネックレスがダメなら、こちらでしたらいかがでしょう?」
「えっと……」
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