えぇっ、殿下、本気だったんですか!?~落ちこぼ令嬢は王太子の溺愛を肉壁だと思い込んでいる~

11.あの時の想いと打開策を考えて

「ど、どこって、ララのおすすめのお店なんですよね!?」
「そっ、そうだけど違うわよ!? 私が行こうと思っていたのはさっきのお店から少し南下するだけでそもそも王都からは離れないもの!」
「結構前から離れてましたけど!」
「言いなさいよ!」
「気付いてくださいよ、ガッタガタだったじゃないですか!」

 戸惑った私たちが言い合っていると、御者が思い切り馬車の方を叩く。
 
「おい、うるっせえぞ、黙ってろ!」
「ひぇっ」

 突然怒鳴られたその声に驚いて思わずララの手を取ると、ララも驚いたのか私の手をぎゅっと握りふたりで奥のソファの隅に身を寄せ合った。

「こ、公爵家の御者って荒々しいんですね?」
「そんな訳ないでしょう。知らないわよ、あんな人」

“つまり誰かが公爵家の馬車を乗っ取って私たちを誘拐したってこと?”

 その事実に気付きゾッとする。
 ララも同じことに思い至ったのか、顔を青ざめさせていた。


「……どこに向かっているのかしら」
「どこでしょう」

 依然馬車はガタガタと揺れながら走り続けており、その目的地もわからない。
 
「私たちを誘拐するって何が目的かしら」
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