えぇっ、殿下、本気だったんですか!?~落ちこぼ令嬢は王太子の溺愛を肉壁だと思い込んでいる~

12.加護を応用してみよう

「殿下、コルティ公爵令嬢が謁見を求められております」
「コルティ?」

 机に並べられた書類に目を通していると、そう声をかけられ思わず怪訝な顔をしてしまう。

“コルティ公爵令嬢は今、僕のルチアと買い物に行っているはずだが”

 普段ならば令嬢からの謁見は絶対に許可せず、事前通達を要求するかその家の当主からの謁見要請も持ってくるよう伝え追い返すのだが、言い表せぬ嫌な予感を感じすぐに立ち上がった。

「わかった、応接室へ通しておいてくれ。僕もすぐに向かおう」
「はっ」

 指示を聞き執務室を出た側近を見送り、自分もすぐに執務室を出る。

“この時間なら訓練中だな”

 向かうのは第一騎士団訓練所だ。

 第一騎士団は王都の中心部に拠点を置いているため、訓練所も王城内にある。
 その為、大した時間もかからず目的の場所へと着いた。

「エミディオ・コンタリーニを呼んでくれないか?」
「でっ、殿下!?」

 近くにいた騎士にそう声をかけると、一瞬驚いた顔をしたものの目的の人物をすぐに呼びに行き、間もなく目的の人物であるエミディオ・コンタリーニ、つまりはルチアの兄が現れる。
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