えぇっ、殿下、本気だったんですか!?~落ちこぼ令嬢は王太子の溺愛を肉壁だと思い込んでいる~
「くそ、わかった。情報感謝する。行くぞエミディオ」
「はい、殿下」

 応接室を早歩きで出て、扉の前で待機していたメイドに彼女を馬車まで送るよう指示を出し、そしてついてきていたエミディオを振り返った。

「悪いが至急コンタリーニ侯爵夫妻に連絡してくれ。コルネリオ侯爵には侯爵家の人員で捜索隊を作るように、カロリーナ夫人にはありとあらゆる情報を」
「畏まりました」
「僕は一歩先に出る、お前は……」
「俺も殿下と一緒に出ます。両親には確実なルートで言付けをしますので」
「わかった」

 一度執務室へと戻り、剣を腰に差して部屋を出る。
 同じく装備を整えたエミディオが既に待機しており、すぐに厩舎へと向かった。
 

「どちらへ向かったかわかるんですか?」
「まぁ、大まかな方向はね」

 馬を走らせていると、エミディオからそんな質問が飛ぶ。
 迷いなく進んでいることを不思議に思っているのだろう。

“闇の加護のお陰だな”

 王族だけに顕現するという光の加護と闇の加護。
 稀にしか出ないこのふたつの加護は他のものとは違い、かなり特別なものだった。
< 91 / 262 >

この作品をシェア

pagetop