えぇっ、殿下、本気だったんですか!?~落ちこぼ令嬢は王太子の溺愛を肉壁だと思い込んでいる~
 そしてそれらの加護は明かされていない使い方も多い。
 それは秘匿されているというよりも、全てわかっていないという部分もあるのだろう。

“加護の強さは人それぞれだ。それに王族といえど光と闇の加護を授かるとも限らないしな”

 そしてその特別な加護をふたつとも授かったからこその使い方も出来るのだ。

「ルチアに贈ったネックレスに光の加護を授けてある」
「加護を? ですが加護は」

 加護は本人にしか発動できない。
 どれだけ僕の加護をネックレスに込めたとしても、ルチアには使えない。

 それを知っているからか、エミディオから怪訝な声が漏れる。
 
「あぁ。あのネックレスを使えるとしたら僕だけだね。けど、光の加護は闇の加護と相反するんだ」
「それはつまり」
「僕のための加護が、僕のために位置を教える、ということだよ」
「それってつまり……!」

 彼女に渡したネックレスに授けている光の加護に、光の加護としての意味はない。
 だがその光の加護を、相反する闇の加護が反応し大まかな位置がわかるのだ。

 つまりそれは。

「ルチアのストーカーをしている……ということですね?」
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