えぇっ、殿下、本気だったんですか!?~落ちこぼ令嬢は王太子の溺愛を肉壁だと思い込んでいる~
 そういった実験や、新たに加護を授かるための儀式が行われているのだとしたら。

「もしルチアが狙われた理由が加護にあるなら……」

 いや、加護のないルチアに加護を授ける実験をするメリットはない。
 彼女は貴族だ。

 貴族で加護がない人間は珍しいが、平民では逆に加護を持っている方が珍しい。
 後付けで加護がつけられるかの実験をしたいなら、わざわざリスクを追って貴族の令嬢を選ぶ必要はないだろう。

 ならばこれは。

「……僕の加護を狙っているという、警告か」

 王族にしか顕現しない光と闇の加護。
 これらを他者に移せるのなら。

「人質にルチアが選ばれたのも、そこが理由かもしれません」
「あぁ。腹立たしいが、効果的だ」

 彼女を取り返せるのならば、加護なんて手放して構わない。
 だからどうか。

“無事でいてくれ……!”

 もしこれがどんな儀式や警告なのだとしても、必ず愛する彼女を助け出す。
 決して、決してこの見せしめのように捨てられたおぞましい羽たちのようにはさせまいと、そう僕は心の底から誓ったのだった。
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