えぇっ、殿下、本気だったんですか!?~落ちこぼ令嬢は王太子の溺愛を肉壁だと思い込んでいる~

13.私は無事でいなきゃいけないの

「とりあえずクッションの中身は外に投げてみましたけど、どうですかね……」
「きっといい道標になっているはずよ、問題ないわ」
「でも羽って思ったよりも軽くて――、きゃっ!」

 ララと話していると、突然ガタンと大きく馬車が揺れてどこかで止まる。

“目的地に着いたの……?”

 移動している時はまだ良かった。
 もちろん王都から離れるのは困るが、動いているということは“何もされない”ということだから。

 だが目的地に着いたのならば話は別だ。
 誘拐の目的が私たちのどちらなのか、それともふたりともなのかはわからないが、どちらにしろ何かしらのことはされる。

“拘束かしら、もしかしたらララと引き離されるかも”

 片方が目的じゃない場合、その目的じゃない方は暴行などを受ける可能性がある。
 いや、これがもし怨恨によるものだとすれば目的の方こそ暴行されることだって考えられるだろう。

「どう、なるのかしら……」
「わかりません。売られる可能性だってありますよね」
「そんなっ」

 だが、ない話ではない。
 高位貴族の令嬢、しかもララはその真っ赤な髪に真っ赤な瞳からも加護が強いことがわかる。
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