えぇっ、殿下、本気だったんですか!?~落ちこぼ令嬢は王太子の溺愛を肉壁だと思い込んでいる~
 きっとひとりだったら声をあげていただろうが、同じように耐えるララがいてくれたお陰でなんとか声を出さずにすんだ。

“今の音って”

 外から鍵を掛けられた音。
 それはつまり。

「今ここは密室……!」
「そんな」
「怯える必要はありません、私たちが出られないということは逆に相手も入ってこれないということですから」

 鍵がかかっているのならそうに違いない。

 私のその説明に強張っていたララの表情も緩む。

「ひとまず私たちは安全ということですわね?」
「えぇ、そのようです」

“でも、何で鍵をかけたのかしら”

 もし私たちが馬車の中にいると気付いたのなら、引きずり出し納屋へと連れて行ったはず。

「乗り換える馬車がまだ到着していないから?」
「どういうことですの?」
「簡単な話です。ここで馬車を乗り換えて私たちをどこかに連れていくのが目的なのだとしたら、つまりは私たちは商品ってことですよね?」

 私たちが誰かに売られるのかもしれないし、その理由や目的まではわからないけれど。
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