不良の理央くんはあたしの全部が好きすぎる
第二話「揺れる心」
◆第二話「揺れる心」
〇(回想)南の小学低学年時代
子役オーディションのチラシを南に見せる母。
母「じゃっじゃーん! 南、これ応募しない!? 子役オーディションやるんだって!」
南はビックリして首を横に振る。
南「子役!? 私、無理だよ……」
出たくないと涙目になる南に強引に詰め寄る母。
母「大丈夫よ! みーちゃん可愛いし! ほら、ママこの間倒れたじゃない? お仕事もあんまりむりできなくなっちゃったし、みーちゃんも子役としてお仕事してくれたらママ、夜お仕事しなくていいんだけど……」
南(私が頑張ればママ、夜一緒にいてくれるんだ……もうひとりにならなくていいんだ…)
イヤイヤながらも頷く。
南「わかった! やる!」
後日、オーディション会場にて、フリフリの洋服を着てめいいっぱい着飾ったが、可愛い子がいっぱいで圧倒される南。
面接でも受け答えも上手くいかなかった。
落ちたと思っていたが一週間後、学校から帰ってきた南の元へ駆け寄る母。
母「みーちゃん! 合格だって!」
とても嬉しそうに報告する母に、嬉しくなって抱きつく南。
◯お仕事にて(事務所)
母とマネージャーと一緒に事務所に入る。
社長から最初にお仕事を頂いた役は、主人公をイジめる悪役だった。
顔を歪ませる南。
南「この役、やりたくない……」
母「最初からお仕事もらえるだけでもすごいのよ! それにママ、悪い役大好きだけどなあー」
南(ママが喜んでくれるなら…ママのために……)
南「じゃあやる……」
仕事での撮影は決して楽しいものではなかった。
ヒロインばかり可愛がられ、質問をしても適当にあしらわれる南。
南(私もヒロインがよかった……)
◯学校(教室)
南の役を真似され、イジめの標的にされる。
今まで友達だった子も無視するようになってしまった。
南(こんな生活、もうイヤだ……)
(いつまで耐えればいいの……普通の生活を送りたい…)
仕事はママのためにやめないと決めていた南。
中学は小学校の繰り上がりなため、高校では普通の生活を送ると心に決める。
(回想終了)
理央の家から自分の家に帰宅する南。
○南の家(玄関)
南「ただいま〜」
玄関のドアを開けるとブランド品のバッグや服の紙袋がいくつも置かれていた。
母「南、おかえりー! 南がお仕事頑張ってくれたから、お母さんいっぱい買い物しちゃった!」
首元に煌びやかなネックレスを当てながら嬉しそうな母。
南(またたくさん買ったんだ……)
(今じゃ、私が出てる雑誌やドラマも見てくれないし、もう私に興味なさそう……)
嬉しそうな母の顔を見て話し出す南。
南「お母さん、私……お仕事辞めちゃダメかな」
南の言葉を聞いて怒ったように顔が変わる母。
母「ダメよ! みーちゃんが頑張ってくれてるからママ、週3日までお仕事減らせたのよ? みーちゃんが辞めちゃったらどうやって生きていくのよ!」
南「お母さんが今まで買い込んだブランド品を売れば、当分生活に困らないんじゃないかな……」
母「当分じゃダメなのよ! みーちゃんはママに過労で死ねって言うの!?」
南「そんなこと思ってない……私、役のせいで友達いないんだよ……」
母「高校は自由にさせてほしいって言ったのはみーちゃんでしょ。先生に許可とって変装してるのに、友達できないのを役のせいにしないでちょうだい」
胸の内を母に分かってもらえなかった南。
南(そうだよね、ママの言うとおりだ……変装させてもらってるのに友達ができないのは私に問題があるからだーー)
○学校・朝(翌日)
今日こそクラスメイトの子達に話しかけようと意気込む南。
教室のドアを開け、昨日校門で挨拶をしそびれた女子二名と目が合う南。
ドキッと心臓が飛び跳ねる感覚に陥る。
南(ーー挨拶しなきゃ!)
南「ーーお、おはよう!」
クラスメイトA「……ああ、うん、おはよう……」
クラスメイトB「……おはよう」
特に話を膨らませることができずに会話が終了してしまった。
その後、会話を続けることができずに自分の席へ座る。
南(何話せばいいかわからないよ……)
○昼休み
お弁当を持って校舎裏に移動する南。
校舎裏に近づくと、理央が金髪の派手な女子から迫られているのを目撃してしまう。こそっと隠れて様子を伺う。
派手な女子「最近遊んでくれないじゃん、なんで?」
理央「そういうの飽きた」
派手な女子「今日の放課後、雄也達から理央を連れて来いって言われてるんだけど?」
理央「勝手にやってろよ。俺はもうそういうのいいわ」
派手な女子「勝手なこと言わないでよ! 放課後迎えにくるからね!」
派手な女子は校舎に戻るべく南の元へ近寄ってくる。
派手な女子と目が合う南。パッと逸らす。
派手な女子「――ブス。理央に近づいたら許さないから」
すれ違いざまに文句を言われる。
少ししてから理央のところへ出ていく南。
頭を抱えて壁にもたれかかっている理央の元に近寄る。
南「……ごめん、たまたま見ちゃって」
顔を上げて南を見つめる理央。
理央「アイツとは何もないから」
南「ーー彼女かと思った」
南(私なに聞いてるんだろう……)
理央「いないし、彼女とか作ったことない。南は?」
南「ーーへ?」
理央「彼氏、いるの?」
南「いない……できたこともない……」
理央「じゃあ作らないで。これからも」
南(――え、これからも!? なんで……)
腕を引っ張られ、胸に抱き寄せられてしまった南。呆然とするなか、耳元で囁かれる。
理央「これからはずっと俺だけ見てて」
恥ずかしくなって慌てて理央の側から離れようとする南。だが、ぎゅっと抱きしめられていてビクともしない。
南(私がミナミだから、理央くんは私とミナミを重ねてみてるんだ――)
〇(回想)南の小学低学年時代
子役オーディションのチラシを南に見せる母。
母「じゃっじゃーん! 南、これ応募しない!? 子役オーディションやるんだって!」
南はビックリして首を横に振る。
南「子役!? 私、無理だよ……」
出たくないと涙目になる南に強引に詰め寄る母。
母「大丈夫よ! みーちゃん可愛いし! ほら、ママこの間倒れたじゃない? お仕事もあんまりむりできなくなっちゃったし、みーちゃんも子役としてお仕事してくれたらママ、夜お仕事しなくていいんだけど……」
南(私が頑張ればママ、夜一緒にいてくれるんだ……もうひとりにならなくていいんだ…)
イヤイヤながらも頷く。
南「わかった! やる!」
後日、オーディション会場にて、フリフリの洋服を着てめいいっぱい着飾ったが、可愛い子がいっぱいで圧倒される南。
面接でも受け答えも上手くいかなかった。
落ちたと思っていたが一週間後、学校から帰ってきた南の元へ駆け寄る母。
母「みーちゃん! 合格だって!」
とても嬉しそうに報告する母に、嬉しくなって抱きつく南。
◯お仕事にて(事務所)
母とマネージャーと一緒に事務所に入る。
社長から最初にお仕事を頂いた役は、主人公をイジめる悪役だった。
顔を歪ませる南。
南「この役、やりたくない……」
母「最初からお仕事もらえるだけでもすごいのよ! それにママ、悪い役大好きだけどなあー」
南(ママが喜んでくれるなら…ママのために……)
南「じゃあやる……」
仕事での撮影は決して楽しいものではなかった。
ヒロインばかり可愛がられ、質問をしても適当にあしらわれる南。
南(私もヒロインがよかった……)
◯学校(教室)
南の役を真似され、イジめの標的にされる。
今まで友達だった子も無視するようになってしまった。
南(こんな生活、もうイヤだ……)
(いつまで耐えればいいの……普通の生活を送りたい…)
仕事はママのためにやめないと決めていた南。
中学は小学校の繰り上がりなため、高校では普通の生活を送ると心に決める。
(回想終了)
理央の家から自分の家に帰宅する南。
○南の家(玄関)
南「ただいま〜」
玄関のドアを開けるとブランド品のバッグや服の紙袋がいくつも置かれていた。
母「南、おかえりー! 南がお仕事頑張ってくれたから、お母さんいっぱい買い物しちゃった!」
首元に煌びやかなネックレスを当てながら嬉しそうな母。
南(またたくさん買ったんだ……)
(今じゃ、私が出てる雑誌やドラマも見てくれないし、もう私に興味なさそう……)
嬉しそうな母の顔を見て話し出す南。
南「お母さん、私……お仕事辞めちゃダメかな」
南の言葉を聞いて怒ったように顔が変わる母。
母「ダメよ! みーちゃんが頑張ってくれてるからママ、週3日までお仕事減らせたのよ? みーちゃんが辞めちゃったらどうやって生きていくのよ!」
南「お母さんが今まで買い込んだブランド品を売れば、当分生活に困らないんじゃないかな……」
母「当分じゃダメなのよ! みーちゃんはママに過労で死ねって言うの!?」
南「そんなこと思ってない……私、役のせいで友達いないんだよ……」
母「高校は自由にさせてほしいって言ったのはみーちゃんでしょ。先生に許可とって変装してるのに、友達できないのを役のせいにしないでちょうだい」
胸の内を母に分かってもらえなかった南。
南(そうだよね、ママの言うとおりだ……変装させてもらってるのに友達ができないのは私に問題があるからだーー)
○学校・朝(翌日)
今日こそクラスメイトの子達に話しかけようと意気込む南。
教室のドアを開け、昨日校門で挨拶をしそびれた女子二名と目が合う南。
ドキッと心臓が飛び跳ねる感覚に陥る。
南(ーー挨拶しなきゃ!)
南「ーーお、おはよう!」
クラスメイトA「……ああ、うん、おはよう……」
クラスメイトB「……おはよう」
特に話を膨らませることができずに会話が終了してしまった。
その後、会話を続けることができずに自分の席へ座る。
南(何話せばいいかわからないよ……)
○昼休み
お弁当を持って校舎裏に移動する南。
校舎裏に近づくと、理央が金髪の派手な女子から迫られているのを目撃してしまう。こそっと隠れて様子を伺う。
派手な女子「最近遊んでくれないじゃん、なんで?」
理央「そういうの飽きた」
派手な女子「今日の放課後、雄也達から理央を連れて来いって言われてるんだけど?」
理央「勝手にやってろよ。俺はもうそういうのいいわ」
派手な女子「勝手なこと言わないでよ! 放課後迎えにくるからね!」
派手な女子は校舎に戻るべく南の元へ近寄ってくる。
派手な女子と目が合う南。パッと逸らす。
派手な女子「――ブス。理央に近づいたら許さないから」
すれ違いざまに文句を言われる。
少ししてから理央のところへ出ていく南。
頭を抱えて壁にもたれかかっている理央の元に近寄る。
南「……ごめん、たまたま見ちゃって」
顔を上げて南を見つめる理央。
理央「アイツとは何もないから」
南「ーー彼女かと思った」
南(私なに聞いてるんだろう……)
理央「いないし、彼女とか作ったことない。南は?」
南「ーーへ?」
理央「彼氏、いるの?」
南「いない……できたこともない……」
理央「じゃあ作らないで。これからも」
南(――え、これからも!? なんで……)
腕を引っ張られ、胸に抱き寄せられてしまった南。呆然とするなか、耳元で囁かれる。
理央「これからはずっと俺だけ見てて」
恥ずかしくなって慌てて理央の側から離れようとする南。だが、ぎゅっと抱きしめられていてビクともしない。
南(私がミナミだから、理央くんは私とミナミを重ねてみてるんだ――)