不良の理央くんはあたしの全部が好きすぎる
第五話「固い決意」
◆第五話「固い決意」
◯車の中
マネージャーの言葉に唖然とする南。
理央はどう思っているのかを知りたくてチラッと見る。
表情を変えずにただ外の景色を眺めている理央。
理央と話せなくなることはイヤだけど、理央の迷惑になることはしたくないと思い頷く南。
理央「俺がミナミと付き合ってるって噂が出たらミナミの人気に影響しますか?」
南(……理央くん?)
マネージャー「……そう言われてみれば、あんまり害はないかもしれないわね」
マネージャーは何かを思い出したように理央に南のことを語る。
マネージャー「ミナミって、出演したドラマ毎に毎回熱愛疑惑が出るのよね。それでアンチももっと増えちゃうから、ミナミに恋人がいるって出回ったらむしろ世間は安心するのかしら?」
二人が何を言っているのか分からない南。
理央「恋人のフリでも問題ないですよね?」
南「えっ!?」
南は顔を赤くして驚いた声を出した。
マネージャー「でも、ミナミの恋人なんて告げたらあなたの過去や人間性も根掘り葉掘り調べられるわよ」
理央「大丈夫です。ふっかけられたら喧嘩はするけど自分からはしないし」
マネージャー「あなた見た目が派手だし顔がいいから遊んでそうだけど女関係は?」
理央「彼女とかいないし、できたことないです」
マネージャー「体の関係は?」
理央「ないです」
マネージャーは本当に!?と首を傾げる。
理央「告白されてもちゃんと突き放してるんで」
南は理央の言葉で、靴箱のロッカーに入っていた手紙を思い出した。
南(確かに突き放してる……)
マネージャー「親御さんにも迷惑かけるけど大丈夫?」
理央「俺、伊達財閥の一人息子なんです。法的にアウトなこと以外なら自由にしてくれていいって言われてるんで。俺がミナミのファンなのは親も知ってるし」
突然のファン発言にドキッと胸を高鳴らせる南。
マネージャー「伊達財閥って、あのエルレインの化粧品ブランド!? 私、あそこの化粧品凄く好きなのよね! ただ、お高いからあまり買えないんだけど……」
理央「じゃあ親に余ってるやつ貰っとくんで」
マネージャー「ええっ!? さすが財閥息子! それなら決まりね! 南も理央くんがカレシで問題ない? ああ、カレシのフリね」
流されるように話が決まり、意味もわからないままこくりと頷く南。戸惑いながら理央に聞く。
南「理央くんがミナミのカレシのフリをしてくれるってこと?」
理央「ん、そういうこと。もし花里がミナミだってバレても俺が守るから」
南(理央くんがカレシ……)
申し訳なさと嬉しさで胸が満たされていく南。
◯ミナミの事務所に着き、マネージャーの後をついていく南と理央。一室に入り、理央とミナミはマネージャーから一台ずつスマホを手渡された。
マネージャー「会社で管理してる予備のスマホ。通常のスマホは危ないから、これでやり取りしてくれる?」
南「お金は……」
マネージャー「いらないわよ。このスマホ同士だったら通話無制限プランにも加入してるから。会社のスマホだから経費で落とせるし、盗聴のアプリも入れてないから好きなだけ話してちょうだい」
マネージャーの言葉に感謝をしつつ、スマホを握りしめる南。
南と理央野前に冷たいアイスコーヒーを淹れ出してくれたマネージャー。改めて、イスに座る南と理央。
マネージャー「で、交際のフリをする際、絶対守ってほしいことがあるのよ」
マネージャーの話に耳を傾ける南と理央。
理央「……なんですか?」
マネージャー「分かってると思うけど、高校生の間はキス以上はダメだからね」
ビックリして立ち上がる南。
南(な、なに言ってるの、マネージャー)
南「私達、付き合ってるフリをするだけだよ!?」
笑って誤魔化そうとする南とは違い、理央は口を紡いだままだった。そんな理央に南は質問する。
南「ね、理央くん!?」
理央は南の目を見ずにマネージャーに質問をした。
理央「キスまではいいんですか」
マネージャー「本当はキスもダメ。って言いたいけど、キミはミナミのファンだからね……我慢できる?」
理央「我慢はできません」
マネージャー「それなら、していいのはキスまでよ。それ以上は絶対ダメだからね。キミはこの意味分かるよね?」
理央「――はい……」
南は立ち上がりマネージャーに何もしないことを告げる。
南「理央くんは私と恋人のフリをしてくれるだけなの!キスもキス以上も絶対ないから!」
強く言う南の言葉を聞きながら、マネージャーは理央にまた視線を向けた。
マネージャー「そう。それならいいわ。くれぐれもお願いね、理央くん」
◯事務所の外(昼)
マネージャーから帽子と変装用のメガネを借りた南。理央と一緒に帰る。
南の手をさりげなく握る理央。
そんな理央の行動にドキドキしてしまう。
南(恥ずかしくて理央くんの顔見れないよ……)
地面を見ながら理央に話しかける南。
南「なんかごめんね、私のせいでとんでもないことに巻き込んじゃって」
理央「俺にとっては好都合。気にすんなよ」
南「……でも、恋人のフリだなんて」
理央「あのさ、南にとってはフリかもしれないけど、俺はフリとか思ってないから」
南「………え?」
理央の方に顔を上げる。
理央は顔を赤くしていた。
理央「俺はフリじゃなくて、ミナミも含めてちゃんと花里と付き合っていくから」
南「理央くん……」
理央「だからさ、前にも言ったけど俺だけをみてて」
ぎゅっと繋がれた手からは理央の温もりが伝わる。
南(嬉しいけど、理央くんは私がミナミだから好きなだけだよね、きっと……)
不安な表情を見せる南。
理央は顔を近づけて、触れるキスをした。
理央「そんな不安な顔してたらもっかいキスするけど」
意地悪く笑う理央に、顔が真っ赤になる南。
南「プライベートでキスとか、したことないのに……」
南の言葉にニッと笑う理央。
理央「言っとくけど俺は本気で好きだから」
◯車の中
マネージャーの言葉に唖然とする南。
理央はどう思っているのかを知りたくてチラッと見る。
表情を変えずにただ外の景色を眺めている理央。
理央と話せなくなることはイヤだけど、理央の迷惑になることはしたくないと思い頷く南。
理央「俺がミナミと付き合ってるって噂が出たらミナミの人気に影響しますか?」
南(……理央くん?)
マネージャー「……そう言われてみれば、あんまり害はないかもしれないわね」
マネージャーは何かを思い出したように理央に南のことを語る。
マネージャー「ミナミって、出演したドラマ毎に毎回熱愛疑惑が出るのよね。それでアンチももっと増えちゃうから、ミナミに恋人がいるって出回ったらむしろ世間は安心するのかしら?」
二人が何を言っているのか分からない南。
理央「恋人のフリでも問題ないですよね?」
南「えっ!?」
南は顔を赤くして驚いた声を出した。
マネージャー「でも、ミナミの恋人なんて告げたらあなたの過去や人間性も根掘り葉掘り調べられるわよ」
理央「大丈夫です。ふっかけられたら喧嘩はするけど自分からはしないし」
マネージャー「あなた見た目が派手だし顔がいいから遊んでそうだけど女関係は?」
理央「彼女とかいないし、できたことないです」
マネージャー「体の関係は?」
理央「ないです」
マネージャーは本当に!?と首を傾げる。
理央「告白されてもちゃんと突き放してるんで」
南は理央の言葉で、靴箱のロッカーに入っていた手紙を思い出した。
南(確かに突き放してる……)
マネージャー「親御さんにも迷惑かけるけど大丈夫?」
理央「俺、伊達財閥の一人息子なんです。法的にアウトなこと以外なら自由にしてくれていいって言われてるんで。俺がミナミのファンなのは親も知ってるし」
突然のファン発言にドキッと胸を高鳴らせる南。
マネージャー「伊達財閥って、あのエルレインの化粧品ブランド!? 私、あそこの化粧品凄く好きなのよね! ただ、お高いからあまり買えないんだけど……」
理央「じゃあ親に余ってるやつ貰っとくんで」
マネージャー「ええっ!? さすが財閥息子! それなら決まりね! 南も理央くんがカレシで問題ない? ああ、カレシのフリね」
流されるように話が決まり、意味もわからないままこくりと頷く南。戸惑いながら理央に聞く。
南「理央くんがミナミのカレシのフリをしてくれるってこと?」
理央「ん、そういうこと。もし花里がミナミだってバレても俺が守るから」
南(理央くんがカレシ……)
申し訳なさと嬉しさで胸が満たされていく南。
◯ミナミの事務所に着き、マネージャーの後をついていく南と理央。一室に入り、理央とミナミはマネージャーから一台ずつスマホを手渡された。
マネージャー「会社で管理してる予備のスマホ。通常のスマホは危ないから、これでやり取りしてくれる?」
南「お金は……」
マネージャー「いらないわよ。このスマホ同士だったら通話無制限プランにも加入してるから。会社のスマホだから経費で落とせるし、盗聴のアプリも入れてないから好きなだけ話してちょうだい」
マネージャーの言葉に感謝をしつつ、スマホを握りしめる南。
南と理央野前に冷たいアイスコーヒーを淹れ出してくれたマネージャー。改めて、イスに座る南と理央。
マネージャー「で、交際のフリをする際、絶対守ってほしいことがあるのよ」
マネージャーの話に耳を傾ける南と理央。
理央「……なんですか?」
マネージャー「分かってると思うけど、高校生の間はキス以上はダメだからね」
ビックリして立ち上がる南。
南(な、なに言ってるの、マネージャー)
南「私達、付き合ってるフリをするだけだよ!?」
笑って誤魔化そうとする南とは違い、理央は口を紡いだままだった。そんな理央に南は質問する。
南「ね、理央くん!?」
理央は南の目を見ずにマネージャーに質問をした。
理央「キスまではいいんですか」
マネージャー「本当はキスもダメ。って言いたいけど、キミはミナミのファンだからね……我慢できる?」
理央「我慢はできません」
マネージャー「それなら、していいのはキスまでよ。それ以上は絶対ダメだからね。キミはこの意味分かるよね?」
理央「――はい……」
南は立ち上がりマネージャーに何もしないことを告げる。
南「理央くんは私と恋人のフリをしてくれるだけなの!キスもキス以上も絶対ないから!」
強く言う南の言葉を聞きながら、マネージャーは理央にまた視線を向けた。
マネージャー「そう。それならいいわ。くれぐれもお願いね、理央くん」
◯事務所の外(昼)
マネージャーから帽子と変装用のメガネを借りた南。理央と一緒に帰る。
南の手をさりげなく握る理央。
そんな理央の行動にドキドキしてしまう。
南(恥ずかしくて理央くんの顔見れないよ……)
地面を見ながら理央に話しかける南。
南「なんかごめんね、私のせいでとんでもないことに巻き込んじゃって」
理央「俺にとっては好都合。気にすんなよ」
南「……でも、恋人のフリだなんて」
理央「あのさ、南にとってはフリかもしれないけど、俺はフリとか思ってないから」
南「………え?」
理央の方に顔を上げる。
理央は顔を赤くしていた。
理央「俺はフリじゃなくて、ミナミも含めてちゃんと花里と付き合っていくから」
南「理央くん……」
理央「だからさ、前にも言ったけど俺だけをみてて」
ぎゅっと繋がれた手からは理央の温もりが伝わる。
南(嬉しいけど、理央くんは私がミナミだから好きなだけだよね、きっと……)
不安な表情を見せる南。
理央は顔を近づけて、触れるキスをした。
理央「そんな不安な顔してたらもっかいキスするけど」
意地悪く笑う理央に、顔が真っ赤になる南。
南「プライベートでキスとか、したことないのに……」
南の言葉にニッと笑う理央。
理央「言っとくけど俺は本気で好きだから」