妹に全てを奪われた伯爵令嬢は遠い国で愛を知る
「私は旦那様の鳩尾《みぞおち》を殴り、うずくまって悶絶する旦那様の頭に回し蹴りをして意識を刈り取りました」

「………………え?」
 予想の遥か斜め上をいったであろう展開に、リュオンは唖然としている。

「いくら向こうに非があるとはいえ、やり過ぎたのよねえ……」
 遠い目をしながらオムレツをナイフで切り分けて、一口食べる。

「鳩尾を抉り抜いた一撃で止めるべきだったの。でもまだ旦那様の意識があったから、つい反射的にトドメを刺してしまったわ」

「反射的にトドメを……」
 棒読みで呟くリュオン。

「やっぱり女性と男性では地力が違うでしょう? 生半可な攻撃では反撃される危険性があるから。やるときは情け容赦なく徹底的に、全力で叩きのめせと護身術の先生から教わったのよ」

「護身術の先生?」
「ええ。実は私、レアノールの伯爵令嬢で、王子の婚約者だったのよ。夫婦生活を拒否したいときや、夫以外の殿方から強引に迫られたときに必要だということで、護身術も学ばされたの」

「どんな淑女教育だよ……」
 リュオンは呆れている。
< 21 / 21 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

花冠の聖女は王子に愛を歌う

総文字数/38,278

ファンタジー88ページ

第5回ベリーズカフェファンタジー小説大賞エントリー中
表紙を見る
私だけが知ってる、王子様のヒミツ。

総文字数/6,329

恋愛(ラブコメ)3ページ

表紙を見る

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop