妹に全てを奪われた伯爵令嬢は遠い国で愛を知る
 言葉の意味も、彼の興奮ぶりも、私には全く理解不能だ。

「どうしてそんなことが言えるの? 本当にどうしたのリュオン。もしかしてユリウス様の魔法が解けなくて、ショックで少々おかしくなってしまったんじゃ……」
「大丈夫。おれはいたって正気だ。ユーリの魔法も無事解けたよ。いつもより遥かに早く。セラのおかげでな」
 リュオンは笑んだまま私の頭を撫でた。

「……ねえ、わかるように説明して欲しいのだけれど……」
「後で説明するよ。ユーリも落ち着いたみたいだから、先に挨拶を済ませよう」
「??」
 なんでリュオンが上機嫌なのかさっぱりわからないまま、私はサロンへと引き返す彼の背中を追った。
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