素顔

プロローグ(女)

「22時まで、あと5分」

一人暮らしをしてる部屋で20代の女性が、緊張で手が震えるそうになるのを抑えながら、携帯のカメラ機能を利用して、内カメラで荷物が映らないように自分が座る位置と手元を固定しながら調整していた。
この部屋は、汚部屋とは言い難いが物が溢れすぎて雑多な印象を持つ。
携帯のカメラには、雑多な荷物が映らない、この部屋で奇跡の白い壁を背景に画面を確認する。

張り切っていることを悟らせない為、頑張り過ぎてない程度のお気に入りのオシャレなプリントがされてるTシャツを来て、すっぴん風に仕上げられた適度な血色感のある顔に仕上げてる。
メイクをしてると気づかれないように計算尽くされた仕様である。

ここまで念入りにするのは、10年続いたネ友とオンラインオフ会をするからだ。
ネ友とは、ネットの中での友達を指す事である。
オフ会とは、オフラインミーティングの事でネットで知り合った人と実際に会うこと指す。
オンラインなのにオフ会とは、なんて矛盾した言葉だろうか?
いきなり現地で会うのではなく、ワンクッション置こうとなり、ビデオ通話をする事となった。
お互いに都合のいい日を示し合わせて、ビデオ通話をする今日の日付から1週間後に、オフ会をする予定となった。

初めて顔を知る。
そして、知られる。

女性は、怖いと思うよりも好奇心が勝っていた。

10年の付き合いとなったネ友は、好きなアニメのキャラが一緒だった事が始まりだった。
女性がハマり熱狂した推しキャラが予告も無く死んでしまったのだ。
そう、残酷なほどにフラグひとつもなく、あっさりと...。
推しキャラは、主人公ではないけどメインキャラの1人で、主人公のミスを責めながらもフォローする優しさ...ツンデレに、人気が増えて活躍する出番が増えたキャラクターだった。
それが...死。
推しキャラの死を糧に主人公は逞しく成長をする_______。
推しキャラ好きな人は阿鼻叫喚だった。
なんて、残酷な世界だろうかと絶望し、この思いをSNSで吐き出されていた。

ネ友は、同じ推しキャラ故に絶望していた心は同じだった。絶望をsnsに垂れ流していた時に温かい言葉を頂いてから、その人に興味を持つようになった。
相互フォローになり交流していく内に好きなアニメとキャラが被る事が、度々起きていた。
最初は、趣味の話から仲良くになるにつれて個人的なやり取りをするようになっていた。

女性がその人に関して分かる事は、年齢は私の7歳年上で32歳の男性。
本名は下の名前でそうま。
好みのアニメとキャラ。
やり取りして気づく、その人は、他人に厳しいが自分には更に厳しいとストイックな性格。
厳しい故に職場の人に恐れられてるが本当は仲良くしたいと本音を溢してた。
そして、甘党。

女性の中では不器用で可愛い人の印象である。

想像と実際は違うと理解していた。
まぁ、期待しないのが一番だし女性自身が期待されたら困ってしまう。







あぁ、もう少しで時間だ。


緊張しながらビデオ通話した先に見えたのは_______。
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