過去夢の少女

一瞬間違えて着てきてしまったのだと焦ったけれど、他の子たちも同じセーラー服を着ているので安心した。

とにかく自分の席へ座ろうと視線を移したとき、そこに見知らぬ男子生徒が座っていることに気がついた。

学生服の襟ボタンを外して気だるそうに椅子の背に体重を掛けている。
ズボンからは白シャツがはみ出していてだらしない。
思わず顔をしかめたとき、その男子生徒と視線がぶつかった。

咄嗟に視線をそらそうと思ったが、その前に男子生徒が立ち上がってこちらへ近づいてきていた。

『なんだよお前、俺のこと見てんじゃねぇよ』
目の前に立った男子生徒の身長は私よりも１０センチくらい高くて、見上げる形になった。

『別に、見てないよ』
そう言うと男子生徒の眉間にシワが寄った。

なにかよくない雰囲気だと思いながらも足がすくんで動けない。
すぐに教室から出ていくべきだと焦るばかりだ。

『お前さ、昨日商店街にいただろ』