過去夢の少女
☆☆☆

目を覚ました時、珍しく汗をかいていなかった。
今日の夢はお母さんが頑張る内容だったのが良かったのかも知れない。

「お母さんも頑張ってたんだ」
そう思うと、胸のあたりがポカポカと暖かくなるのだった。

それでも朝少し早く家を出て恵と合流することはやめなかった。
今日見た夢の内容に驚いた様子で「すごいじゃん」と目を輝かせていた。

「でしょう? お母さんに反論されたときの河村浩司の顔、すっごくおもしろかったんだから!」

それを思い出すだけでまた笑えてきてしまう。
あの顔を恵にも見せてあげたかったな。

だけどしばらくすると恵が不安そうな顔をこちらへ向けてきた。
「やめると言わないよね?」
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