過去夢の少女
そしてわざと結夏の視界に入る場所に立ち、恵と立ち話を開始した。

河村結夏はできるだけこちらを見ないようにしているけれど、私達の会話が気になるようでどうしても視線が向いてしまう。

そのタイミングで私はスカートのポケットからスマホを取り出した。
「見てみて！　昨日撮影した面白い写真だよ！」

「ほんと、最高じゃん！」
私達の会話に河村結夏が過剰に反応して落ち着きを無くしはじめた。

今見ている写真はただの野良猫を撮したものだったけれど、河村結夏はそう思っていないはずだ。

「なに見てるの？」
他のクラスメートたちが興味を示して近づいてくる。

「えぇ、どうしようかな？」
私はわざと焦らすように言って河村結夏へ視線を向けた。

その瞬間視線がぶつかる。
青ざめた顔の河村結夏が弾かれたように席を立って歩き出した。
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