過去夢の少女
☆☆☆

更衣室にいたはずの河村結夏が授業を欠席していても、誰もなにも言わなかった。
みんな、河村結夏に興味がないのだ。

先生もみんなの反応を見て河村結夏は問題児なのだろうと判断したようで、無断結石の印を名簿につけただけで終わった。

それから45分間の体育の授業はいつもよりも長く感じた。
今河村結夏がどうなっているのは、早く確認したくて仕方なかった。

恵もそれは同じみたいで、授業中に何度も視線が体育館倉庫へと向いていた。
ようやく授業が終わったとき、私と恵でバスケットボールを回収した。

元々体育の先生に今日の片付けを頼まれていたのだ。
そこで考えついたのが自殺セットだった。

「片付け大丈夫? 手伝おうか?」
「大丈夫だよ。さっさと終わらせて教室に戻るから」

優しい友人にそう返事をしてボールカゴにボールを入れていく。
カゴの下には小さなタイヤがついているので重たくはない。
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