過去夢の少女
私と恵はそれを引きずりながら体育館倉庫へと向かった。

倉庫の扉を開ける前に念の為に体育館内を確認するけれど、もう誰の姿もなかった。

私達は視線を身かわせて口角を上げる。
あいつがどうなっているのか見ものだ。
まさか、死んだりはしていないだろう。

そう思って扉を開いた瞬間ムワッとした異臭が鼻を刺激した。
思わず手で鼻を押さえて顔をしかめる。

体育館倉庫の中ではまだつま先立ちをしている河村結夏の姿があった。
だけど、足元のダンボールが濡れていて、水溜まりができている。

匂いはそこから来ているみたいだ。
「プッ! こいつ、おもらししてるんだけど!」

最初に笑い始めたのは恵だった。
私も釣られて大笑いする。

河村結夏はグッタリとしていて顔色も悪く、脂汗でぐっしょりと濡れている。

色々な匂いが混ざりあって近づきたくはないけれど、このままじゃ本当に死んでしまうだろうから、ロープを外すくらいのことはしてやらなきゃいけない。
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