過去夢の少女
☆☆☆

「夢を見ないなんて珍しいね?」
「うん。でも、もっともっといろいろなことがあったと思うんだよね」

恵とふたりで教室へ向かいながら今日は夢を見なかったことを説明した。
「わかってる。このくらいでやめちゃダメだよ?」

夢を見なくなったら復讐は終わり。
恵がそんな風に思っていなかったことに安堵した。

河村結夏への復讐はまだ始まったばかりだから。
今日は公園で集合しなかったから、いつもより10分遅く教室へ到着することになった。

ドアを開けたとき、すでにことは始まっていた。
「くっさー! まじでこの辺臭いんだけど!」

派手グループの女子が3人集まって河村結夏を取り囲んでいる。

ひとり自分の席に座っている河村結夏はうつむいて、なにも聞こえないふりをしているようだ。

私と恵は目を見かわせて、自分たちの席へとついた。

「昨日あんたが出てきたあとの体育館倉庫、めっちゃ臭かったんだけど! あそこ、トイレじゃないんだけど!?」

その言葉にピンときた。
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