過去夢の少女
☆☆☆

ハッと息を吸い込んで目を覚ますと朝が来ていた。
「夢か」
と呟いて額に浮かんだ汗を手の甲でぬぐう。

全身に汗をかいているので下着ごと急いで着替えをして、ようやく人心地がついた。
洗濯機を回しながら今朝の夢の内容を思い出す。

プレートには1年A組と書かれていたけれど、大葉高校のものじゃなかった。
制服も違うし、教室の雰囲気も違う。

なによりもあんな乱暴な生徒は大葉高校の1年A組にはいないはずだ。
「だけど名字は河村だった」

その名字は昨日見たばかりだった。
おとなしくて小さな女子生徒河村結夏。

結局昨日は一言も彼女と会話しなかったんだっけ。
「夢は過去夢?」
自分で質問してきっとそうだと感じるものがあった。

私は子供の頃から知らないはずの過去に起こった出来事を夢に見て、それを口に出すことがあった。
< 14 / 50 >

この作品をシェア

pagetop